The Ledburyはロンドンのノッティン ヒル(映画「ノッティングヒルの恋人」の舞台)に在るフランス料理店だ。かつてはミシュラン二つ星だったが、コロナ禍で一旦閉店し、約1年前から無星で再出発している。
白い壁と茶色の木の床の内装は、高級感がありつつも適度に気軽な雰囲気だ。コースのみ。
着席して直ぐに、高級フランス料理店なのにハムとサラミが供され不安になったが、その後は良かった。
アミューズ ブーシュの一つは、フロマージュをカリカリと焼いた上にトリュフを振りかけ、シャンパーニュが進む。
前菜の蟹は、解した身に甘く無いソルベや緑色の野菜から作った多少苦味のあるソースを和えて、色々な食感と温度感を組み合わせている。
ここでパンが二種類供されたが、その内の一つはとても個性的だ。食感はブリオッシュみたいだが、肉が混ぜ込まれており、ミート パイみたいな味だ。単なる添え物でなく、副菜的な存在感がある。
仔牛の胸腺は嫌味がなく、丁寧に漉した根菜と併せて、円やかな食感。目の前で削ったトリュフが香りを付けている。
鱸の素材は上質で、皮に焦げ目を付けた焼き方も良い。柚子も使った泡状のソースが、爽やかな酸味を付け加えている。
鳩は、柔らかさの中に適度な弾力感を備えている。脚の部位も柔らかいことに感心した。ビーツなどを使ったソースもとても良い。日本人客の扱いに慣れているのか、フィンガー ボールを頼んだら、その代わりにOshiboriを供された。これは有り難い。
デセールはルバーブや生姜のミルフィーユ。生地が驚くほど薄く軽い。
ショコラなどのミニャルディーズも、少量ながら丁寧に仕事をしてある。
料理は個性的かつ上質。客数に対して給仕の数はかなり多め(その分、料金も高くなってしまうが)。
満足した。
9/10