Lyla(ライラ)は乃木坂に在るフランス料理店だ。コンクリート打ち放しの壁の外側に明るい色の木の壁を配している。簡素だが品の良い内装だ。二種類あるコースの内、品数の少ない方を選んだ。
最初のアミューズ ブーシュは、黄緑色の小さな球体。一口で食べると、中から爽やかなミントの液体が口の中に流れ出す。小量だが印象に残る味だ。
更に続いてアミューズ ブーシュが三品同時に供される。特に良かったのがガスパチョ。トマトの爽やかな酸味と、さくらんぼと焦がしたクルトンの組み合わせが、梅雨時に丁度良い。
続く皿は、鰹とフォアグラ ソースという想像を絶する組み合わせ。軽く燻って外側が黒くなった鰹は脂が良く乗っており、動物性のフォアグラとも良く合う。技有りの逸品だ。
ホワイト アスパラガスは、茹でた後で焼いて軽く焦げ目を付けている。更に烏賊や貝を組み合わせて重装的な味を生み出している。
ブーダン ノワールは、オマールのソースで味付けし、更に海老を乗せている。ブーダン ノワールは適度に濃厚ながら、しつこく無い。
焼いた鮎は中に茄子を詰めている。茄子の柔らかい食感が支配的で、鮎を活かしきれていない気もするが、意欲的な品だ。
アイルランド牛は、火入れが適切で、肉汁など複数の素材から作ったソースも良い。
デセールは二品。マンゴーが特に良かった。ムース、ソルベ、粉末と、マンゴーを複数の方法で調理している。
Lylaのレシピは極めて独創的だ。その全てを理解できた訳ではないが、常識を超える素材の組み合わせをまとめ上げるシェフの技量に感心した。
7/10