L’EAU(ロー)は、外苑前に在るフランス料理店だ。内装は黒い石の壁と黒いベンチ シートと禁欲的な感じだが、床の木が明るい茶色で、暗い感じにはなっていない。7席の小さな店だが、客席の間隔は十分に広い。
コースの最初に少量のスープが供される。この後の素材(恐らく牛ホホ)から作ったそうで、その美味しさに期待が高まる。
アミューズ ブーシュは、自然を模した擬態の皿に、4種の品が乗っている。例えば、鱧とミョウガとトマト コンソメの品は、複雑な味とプリっとした食感が印象的だ。先程のスープに使われたと思しき牛ホホは、枝豆が練り込んであり、濃厚ながらしつこくない。説明の絵が添えられているのが面白い。
鮎は単に焼いただけでなく、内臓を一旦ペーストにして詰め込んである。野菜から作ったソースが、鮎の苦味に合っている。かなり手の込んだ皿だ。
契約している漁師から仕入れたという鰻は、本日最も印象に残った。先ず皿の蓋を取った瞬間に燻製香が立ち込める。ペーストにして多少粘り気のある菊芋との意外な組み合わせが効果的だ。
すっぽんと足赤海老も意外な組み合わせだが、スプマンテのスープが良く合っている。
軽い火入れのクエは虹色に光っている。トマトのソースも見目麗しい。
鴨は少しパリっとした食感やポロネギとの組み合わせも良い。
デセール二皿とお茶菓子が続く。
アプリコットはアイスクリームとクレープ状の二種類の調理法で供する。軽い口当たり。
ブルーベリーのフロマージュ ブランも上品な味。
料理は工夫を凝らし手の込んだ品が多い。食感は軽く現代的だ。接客もプロフェッショナル。
シェフの経歴を聞いて少し驚いた。実家はいわゆる洋食屋で、今のようなスタイルはほぼ独力で確立したそうだ。
8/10