L'ARCHESTEは、パリの高級住宅街Passyに在るレストラン。オーナー シェフは日本人で、「ひらまつ」パリ店の料理長を経て独立したそうだ。こういう経緯からか、従業員も客も約半数は日本人で、残り半分はフランス人。パリのフランス料理店は、開店時刻が 19:30の所が多いが、この店は日本人客が多いせいか19:00開店だ。我々も含めて、日本人客の来店時間は早めで、フランス人客の来店時間は遅め。
黒い壁に木の柱を配した内装は、気楽かつシック。服装は、最低限の配慮は必要だが、特に着飾らなくても良い。
二種類あるコースは、皿数は同じで、違いは素材の質。せっかくなので、高いコースを選んだ。
注文に関わらず南瓜のスープが供された。優しい味わい。寒い日だったので嬉しい。
続くアミューズ ブーシュは、とても個性的。海苔のチップスは日本人シェフならではだが、シャンパーニュのお供に良い。玉葱は揚げている。熱いアミューズ ブーシュは余り見かけないが、玉葱の自然な甘さが引き出されており、印象に残る。
前菜の一皿目は、鮪や海老の叩きにラディッシュなどを添えたもの。優しい味わい。
前菜の二皿目は帆立貝。差別化するのが難しい素材だが、そこに何と揚げた豚足を添えている。これらが不思議と良く合う。
オマール海老は見事だった。素材が上質で、浅めの火の通し方も的確。ソースも美味しい。有りがちな調理法だが、素材の良さと技量の高さが、高い水準の品を生み出している。
仔牛は、いたずらに柔らかさを求めず、適度な噛み応え。外側が良く焼け、内側がレアに近い焼き方も的確。香草で香りを付けているみたいだ。ソースも良く、トリュフも香っている。
少量のデセールが三皿同時に供される。柑橘類のアイスクリームの甘み。メレンゲの柔らかい食感。塩を隠し味に使ったチーズ ケーキ。中々のものだ。
ミニャルディーズのうち、チョコレートは印象に残った。チョコレートの内側に何かの液体を閉じ込めており、一口で食べるのだが、病みつきなりそうな美味しさ。
料理の前半は適度に日本的な要素が効果的で、後半は堂々たるフランス料理。親しげな接客も良い。
9/10