サマリア

キム ギドク「サマリア

ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞である銀熊賞を受賞した映画。

仲良し女子高生のヨジン(クァク チミン)とチェヨン(ハン ヨルム)は、欧州旅行の旅費を稼ぐために、出会い系チャットで知り合った客とチェヨンが売春(援助交際)をし、ヨジンが見張り役を務めている。ある日、チェヨンがモーテルで客を取っている最中に、警察に踏み込まれ、逃げようとして上の階の窓から飛び降りたチェヨンは死んでしまう。

 

贖罪のために、ヨジンは奇矯な行動に出る。過去にチェヨンが寝た客と一人ずつ自分が寝て、しかも客に代金を返すのだ。警官であるヨジンの父(イ オル)は、ふとしたきっかけから、ヨジンが売春(実際は売春ではないのだが)をしていることに気付き、深く悩む。父は、ヨジンの後をつけ、ヨジンと寝た客に制裁を加える。そして、終には悲劇的なやり方で、ヨジンの罪に決着を付ける。

 

屈託無く客を取るチェヨンと、罪悪感を覚えているヨジン。チェヨンが客の一人を好きになったため、嫉妬のような複雑な感情を抱くヨジン…映画の前半は、二人の間の複雑な心理状態が面白い。

 

しかし、映画の後半は息苦しくなる。娘の行動に気付きながらも、娘には何も言わずに、客に対して残忍な制裁を加える父親。実話であってもおかしくないような話だが、父の行動と親子の悲劇的な結末は、救いの無い感じを残すだけだ。

 

★★・・・