東京物語

小津安二郎東京物語』(1953)

 

尾道の老夫婦、平山周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)が、東京に住む子供たちを訪ねる。仕事が忙しい子供たちは、二人のことをあまり構ってやれなかったが、それでも老夫婦は孫と遊んだり、戦死した次男の未亡人、紀子(原節子)に東京を案内してもらい満足する。老夫婦を持て余した子供たちは、二人を熱海に送り込むが、旅館で夜通し行われる宴会や麻雀のせいで、二人はなかなか寝付けない。

 

老夫婦は熱海から東京に戻るが、娘の家にも居づらい思いがする。とみは紀子の家に泊まり、周吉は旧友としこたま呑んで子供に対する不満を漏らす。

 

尾道に戻った直後に、とみは亡くなってしまう。東京から駆けつけた子供たちは、その日の内にそそくさと戻ってしまう。一人翌日まで残った紀子は、再婚を勧める周吉に、独身でいる不安を打ち明ける。涙を流す紀子に、周吉はとみの形見の時計を与えた。子供たちがよそよそしい態度をとる中、自分を気遣ってくれるのは紀子だけだった。

 

136分と長めの映画だ。前半に描かれる、高度成長期まで存在した貧しいが素朴な生活と、どこまでも穏和な老夫婦の様は、ほのぼのとした印象を与えるが、見ていて若干退屈でもある。核家族化に伴い脆くなりつつある家族の絆を描く後半は深みがある。日本映画の最高峰として知られる本作に対して、このようなことを言うのはおこがましいが、前半を若干縮めたらもっと良くなるだろう。

★★★・・

(WOWOWで録画)