シッコ

Michael MooreSicko (2007)

 

米国と欧州や日本との間には、共通点も多いが、相違点もまた多い。医療保険制度も大きな相違点の一つだ。欧州や日本からすると信じ難いことに、米国には国が運営する医療保険が無い。民間の保険しか無いことが大きな問題を生んでいることを、マイクル ムーアは大勢の無保険者への取材を通じて明らかにしていく。

 

民間の保険会社は営利を最優先するので、既往症のある人は保険に入れない。また、保険に入っている人が病気の治療で保険金を請求しようとしても、保険会社は何かと屁理屈(この治療は効果が実証されていない等)を付けて保険金の支払いを渋る。無保険で重病を患うと、生活がたちまち困窮してしまう。保険金の支払いを拒まれた人達や、保険会社に雇われて支払いを拒むための理由を考える医師達へのインタビューを見ていると、米国の保険制度に多大な疑問を感じてくる。

 

9/11テロの際の救命活動で呼吸器を患った人達を、キューバに連れて行って無料で治療を受けさせるのは、一歩間違えればあざとい演出となってしまうが、とても印象的だ。扇情的な描写も所々に有るが、全体的には説得力のある作品だ。

★★★★・

(WOWOWで録画)