屋久島

縄文杉を始めとする深い原生林に覆われ、世界遺産に登録された島、屋久島。興味はありながらも交通の便の悪さに二の足を踏んでいたが、2010年3月に開業した「Sankara Hotel & Spa屋久島」が良さそうだったので、年始の休みに思い切って2泊3日で行ってみることにした。

羽田空港から屋久島空港まで、鹿児島での乗り継ぎを含めて3時間半ほど。Sankara Hotel & Spaでは客の滞在中バトラーが付くが、このバトラーがクルマで迎えに来てくれた。空港からホテルまでは20数分。

鹿児島の南と言っても、この季節は寒い。東京より少しはマシといった程度で、コートは必要だ。前日は雪のため鹿児島からの航空便は全部欠航だったそうだ。運が良い。

午後はレンタカーを借りて、ホテルから近い、千尋(せんびろ)の滝とトローキの滝と大川(おおこ)の滝を見て回った。環境を意識したホテルのレンタカーはプリウスだった。

千尋の滝はごく平凡な滝。トローキの滝は川から海に向かって滝が流れ落ちるのが珍しいが、滝へ向かう道が整備されておらず、雨の日は危険だろう。

大川の滝は滝壺の直ぐ側まで寄れるので、視覚的にも聴覚的にも迫力がある。暫く見入って(かつ聞き入って)しまった。★★★★★


二日目は、映画「もののけ姫」の舞台となった神秘的な森林「白谷雲水峡」を歩く予定だったが、積雪が残っているので残念ながら通行止めとのこと。代わりに、アウトドア屋久島ガイドシステムの岩川さんというガイドに、近場の愛子岳登山入り口の森と、早崎海岸のタングステン炭坑跡の海岸を案内してもらう。森を1時間ほど歩くと爽やかな気分になる。

愛子岳登山入り口の森


早崎海岸のタングステン炭坑跡の海岸


松峯大橋からの眺め


午後は再びレンタカーを借りて屋久島を1周する。途中でFlowersという木工雑貨店に寄る。可愛らしくほのぼのとした作品が多い。杉を使ったクラゲの置物と箸置きを買う。

★★★★★


中間にあるガジュマル(イチヂクの一種)は、複雑に別れた根と幹が異様な迫力だ。★★★★・


細くて曲がりくねった西部林道では猿や鹿が見られる。

永田いなか浜は湾曲した砂浜と白い高波の対比が美しい。★★★★・ 時期によっては海亀の産卵が見られるそうだ。


永田いなか浜からしばらく北上したところにある東シナ海展望所で夕日を見た夕日は、冬のせいか若干儚げな感じだった。★★★★★

Sankara Hotel & Spa屋久は、ゆったりとした極上の時間を味わわせてくれる。建物は海を見下ろす高台に在り、プール越しに海を眺める。部屋の大部分は本館から少し離れたヴィラ形式となっており、東南アジア風の木を基調とした落ち着いた内装だ。


レストランは、イタリア料理店とフランス料理店の2種類があり、イタリア料理店は朝食と昼食も供する。

食事の料金は宿泊料金に含まれているが(ワインは別)、フランス料理は一人6,000円の追加となる。両者とも屋久島や鹿児島の食材を基本とし、イタリア料理は割とシンプルに、フランス料理は過度にならない程度に技巧を凝らしている。蕪の瑞々しさや、アラのブイヨン仕立ての気品のあるブイヨンなどが印象にのこっている。★★★★★

滞在中に気になった点はいくつか有る。例えば、冬の時期は浴室が寒いとか、天井に巨大な扇風機を据え付けるのは演出としてやや古いとか。でも、そういう細かい点を忘れさせるほど全体のサーヴィスが素晴らしい。客ごとに付くバトラーはもちろんのこと、他の従業員も皆、それぞれの客の要望を満たそうと、細やかな気遣いをしている。例えば、レストランの給仕も、恐らくバトラーから聞いたのだろうが、僕達の観光の予定を把握しており、さりげなく会話の中で触れてくる。初日夜のイタリア料理で飲み残したワインを二日目のフランス料理に持ち越したのだが、この引継ぎも完璧だった。★★★★★