上高地と小布施

短い夏休みを取り、3泊4日で上高地や小布施を巡ってきた。

上高地は自家用車の乗り入れが禁止されている。東京から電車やバスを乗り継いで、到着まで約6時間かかる。今回は1泊しかしないが、せわしない感じだ。余裕があれば2泊した方が良かった。

上高地帝国ホテル

上高地帝国ホテルの建物は年代を感じさせるが、水廻りの設備は比較的新しいし、部屋で無線LANも使える。 

夕食は高級なフランス料理とカジュアルなフランス料理と和食から選べる。我々はカジュアルなフランス料理を選んだ。ホテルで夕食を1回、昼食を2回食べたが、味付けは昔懐かしの洋食といった感じ。あまり繊細さは感じられない。

宿泊:★★★★・

料理:★★★・・

チェックインした時には、かなり強めの雨が降っていた。逡巡したものの、ホテルで傘とトレッキング シューズを借りて、15:30頃に上流の明神へ向けて出発した。雨のため、川の水は濁り、かなりの急流だ。氾濫しはしないかと、少し不安になった。視界には靄がかかっていたが、これはこれで幻想的で悪くない。

翌日晴れたのは幸運だった。下流大正池へ向かって歩く。川の青緑色と、木々の深い緑色の対比が美しい。天気によって随分と印象が変わるものだ。

 

大正池は、立ち枯れ木が数本ぽつんと立つ様が幻想的。★★★★★

河童橋付近では、穂高梓川の両方が視界に収まる。清々しい絶景。★★★★★

帝国ホテルを出発後、バスと松本電気鉄道上高地線を乗り継いで松本駅へ。予約しておいたレンタカー(BMW 320)を借りる。BMWに乗るのは初めて。オートマティックだと走り出しがもたつく感じだが、マニュアル モードにすると、エンジンが軽快に吹き上がって小気味が良い。

途中松本城に寄る。6階建ての天守閣を最上階まで登ったが、階段の急さに驚く。和服を着たお姫様は階段を登るのに苦労しただろう。それとも、ここは女人禁制だったのだろうか。

★★★・・

松本城から、本日の宿泊先である扉温泉の明神館までは、クルマで約30分。

明神館は1931年創業という老舗旅館だが、時代に合わせて変化してきている。我々が止まった部屋はベッドが備え付けてあり、リネンも豊富で、水廻りも快適。

風呂にはかなり力を入れていて、一般的な大浴場に加えて、深い「立ち湯」、寝そべるような「寝湯」、そして川沿いの露天風呂が有る(我々が止まった部屋にも風呂が備えてあった)。それぞれ個性的で湯質も良さそうだ。でも、川沿いの露天風呂は別として、異なる風呂同士は同じ場所内に設置して、一々服を着ずに相互の間を行き来できるようにした方が良かったと思う。

食事はフランス料理と懐石料理と「モダン和食」が選べるが、我々はフランス料理を選択した。小皿で多数の品数が出てくる。全体的に野菜を使った料理(特にトウモロコシのスープ)が美味かった。魚や肉は、野菜に比べて印象が弱い。

部屋と風呂:★★★★・

料理:★★★★・

翌日の午前中は明神館近くのダム(★★・・・)散策したり、風呂にもう一度入ったりして過ごした。12時頃に明神館を出発し、安曇野大王わさび農場へ向かう。 

わさびというと、小さな段々畑を想像するが、ここの敷地の大きさには壮観だ。きれいな水とわさびが切っても切れない仲だということがよく判る。川沿いの水車が長閑さを感じさせる。土産物の販売で十分な収益を上げているのだろうか、入場料も駐車代も無料だった。

★★★★・

 15時すぎに松本でレンターカーを返却し、JRと長野電鉄を乗り継いて小布施へ向かう。宿にチェックインしたのは18時近くだった。

小布施は独特な場所だ。街全体としては、日本のどこにでもありそうな平凡な田舎町だが、桝一(ますいち)酒造のある一帯は、昔の景観を残しながら、現代的な宿泊施設やレストランを備えている。

宿泊施設の桝一客殿(ますいちきゃくでん)は、往年の砂糖問屋をホテルに改装したもの。白壁と黒い木の柱と瓦が印象的な建物は、威風堂々たる和風建築。

客室は、アルミニウムやガラスを多用した現代的な内装だ。実用性よりデザインを重視した感じもするが… リネンは豊富。ベッドの寝心地は非常に良い。

★★★★★

夕食は直ぐ近くの蔵部(くらぶ)という「寄り付き料理」の店で摂った。寄り付き料理とは聞きなれない名称だが、この店の造語かもしれない。要はカジュアルな和食だ。コースで一人4,200円。焼き茄子の醤油ベースの出汁が旨かった。豚肉や焼き魚も中々のもの。難点を言えば、オープン キッチン近くの席が煙いということか。薪をくべた竈でご飯を炊くのだが、換気が追いつかず、近くの席まで煙が流れこむ。視覚的には竈は面白いが、周りをガラスで覆うなどの工夫が必要だろう。 

★★★★・

翌日の朝食は直ぐ近くの傘風楼(さんぷうろう)で摂った。ここは夜はイタリア料理を供する。ハム、サラミ、オムレツなどの西洋式の朝食は満足度が高い。

★★★★・

 

小布施は葛飾北斎が晩年を過ごした地だ。北斎館は北斎の肉筆画や祭屋台の天井画を展示している。★★★・・

北斎館を出て、界隈を散策する。30分もあれば廻れてしまうほどの広さだが、気持ちいいい。

★★★★・

中心部からやや離れた場所にある岩松院(がんしょういん)へタクシーで訪れ、葛飾北斎の天井画を見る。★★★・・

帰路は、長野電鉄長野駅まで出て、そこから新幹線。夕方に帰京した時には激しい雨だった。今回の旅行では、雨が降っている時間が長く苦労したが、上高地の二日目と大王わさび農場へ訪れた時に雨が止んだのは幸いだった。