リミット

Buried (2010)

卓抜な着想の映画だ。

ポール コンロイ()は、アメリカの民間業者に雇われ、イラクでトラックの運転手をしている。ある日ゲリラに襲撃され、気が付いたら土中に埋められた棺桶の中に密閉されていた。携帯電話を使って国際電話で会社に電話しても、事務的な対応しかされない。妻の電話は留守電になっている。犯人から携帯に何度か電話が掛かってきて、所定の時間までに身代金を支払うよう要求される。ようやく国務省に繋がって、捜索を開始してもらえたが、残された時間は少ない。米軍がポールの居場所を突き止めて救助を開始するが、棺桶の中に砂が流れ込み始めて、呼吸がいつまで続くか判らない...

姿を見せる登場人物は、わずか一人で、しかも殆ど動きが取れない。こんな制約の多い設定の中で、最初から最後まで緊張を持続させる監督の手腕は見事だ。本作に政治的メッセージを読むことも可能だろうが、単なる娯楽作品としても楽しめる。多額の費用を使わなくても、面白い映画を作り得るという好例だ。

途中から、本作はどのような終わり方をするのか気になっていたが、意外な結末が訪れる。この結末が良い。

★★★★★