Azur et Masa Uekiは、西麻布交差点(昔風に言えば霞町)近くに在るフランス料理店だ。
店に入ると、先ずは何層もの木のアーチから成るウェイティング スペースに通される。高級感のある内装だ。
テーブルに着いて渡されるメニューは、折り畳んだ紙をエンボスで綴じている。斬新な演出だ。一皿毎に詩的な題名が付けられている。
「秋止符、冬の訪れ」は、香箱蟹や蕪をクレープみたいな生地で包んでいる。上品な味だ。
「さざ波に抱かれて」は、小さな立方体に切った数多くのアオリイカをスプマンテで覆い、キャビアでアクセントを付けている。アオリイカの歯応えが印象的だ。
スペシャリテだという「甘美なる憂愁」は、キャラメラゼしたフォアグラにカカオのソースを添えている。異種格闘技的な皿だ。
「幸いなる出会い」は、白子や大根を揚げたカダイフ(中東の細い麺)で包んでいる。軽い食感。
「はんなり」は、茸や銀杏を、マッシュルームの出汁に浮かべている。上品な香りを楽しむ。
「芳しさの中で」は、鰆と大きな椎茸という意外な組み合わせ。鰆はかなり柔らかい食感で、もう少し歯応えが有っても良かったと思う。
「大地の恵み」は、野菜にコンテ チーズでアクセントを付けた口直し的な皿だ。
主菜は選択肢が二つ。僕が選んだ「北の国から」は蝦夷鹿のロティだ。ビーツのパイ包みが添えてある。パイの食感は軽く、蝦夷鹿の焼き加減も適切。
アヴァン デセールの「二つの個性」は、洋梨や柚子に梅の微かな酸味がアクセントを付けている。
「あの丘の向こうに」は、栗のモンブラン。適度に濃厚な甘さ。
最後はハーブティーとプティフールで。
プロフェッショナルでありながら親しげな接客はとても良い。
7/10