ビーナスライン

僕はアルファ ロメオ スパイダーというオープン カーに乗っているのだが,普段あまりクルマには乗らない。東京都内の移動は公共交通を利用するほうが便利だからだ。1ヶ月に1回もクルマに乗らないことすらある。こんな僕でもしかし,年に数回は山道に走りに行く。昨日,今日と,蓼科に泊まって,ビーナスラインを走ってきた。

 

折りしも台風16号が接近している時期,天気が心配だ。実際,土曜日に東京を出てしばらくすると雨が降ってきた。しかし,長野に近づく頃には雨も上がってくれた。先ずは「バラクラ イングリッシュ ガーデン」という庭園を散策する。約1万平方メートルの庭に,いろいろな花が整然と咲き並ぶ。普段花に余り興味の無い僕でも十分堪能できる。妻は大喜びだ。それにしても,「バラクラ(Barakura)」とは何という意味だろう。もらったパンフレットにも書いてなかった。

 

次は「ピラタス蓼科ロープウェイ」に乗る。折りしも霧が出てきて見晴らしは悪かったが,頂上駅付近の「坪庭」という散策路の散策を楽しんだ。辺りは山歩きの長い道が縦横に伸びているが,「坪庭」は一周30分ほどの小道。風のせいか背の低い松,苔桃,ハーブ,ススキなどを眺めながら歩くと,すがすがしい気分になる。

 

土曜日の夜は,蓼科の「ハイジ(Heidi)」というホテルに泊まる。文字通りアルプスを意識した造りの建物。築約30年と古いため,適宜改装はしているのだろうが,部屋はやや古い感じ。でも悪くない。「バター,クリームを使わないフランス料理」を謳い文句としている料理も中々。スズキのマリネ,ホタテ貝のムース,スズキのポワレ,牛フィレ肉のグリエと続くコースは,強い印象は与えないが,どれも及第点。

 

翌朝(日曜日)は,いよいよお目当ての美ヶ原へ向けたドライブだ。しかし,ここで思わぬ誤算が。道の混雑を避けるために朝早く出発したかったのだが,ホテルの朝食が8時からとなっている。結局,朝食を食べてチェックアウトしたのは9時過ぎだ。さらに,前日買いそびれた「バラクラ イングリッシュ ガーデン」のスコーンを買いに寄ったりしたため,結局白樺湖から美ヶ原へ向かう道を走り出したのは10時頃になってしまった。この時間帯となると,既に交通量はやや多めとなっていた。霧が峰あたりまでの道はカーブが緩やかで見通しが良いため,隙を見つけて前の遅いクルマを抜く。この辺りの道は雄大で,いつ走っても面白い。しかし,カーブがきつくなる頃に,観光バスの後ろについてしまった。このバスが遅くて,全く道を譲ろうとしない。おまけに真っ黒な排気ガスをもうもうと吐く。15分か20分位だろうか,ずっとイライラしながら観光バスの後ろについていたが,一瞬の隙を見つけて何とか追い越した。

 

美ヶ原には今まで何度か来たことがあるが,今回初めて美ヶ原高原美術館を訪れた。ここは,箱根の彫刻の森美術館と同じく,フジサンケイ グループが所有しており,主に現代の彫刻を屋外に設置している。強い印象を残す作品は少ないが,小一時間それなりに楽しめる。

 

下り道は空いていた。たまに遅いクルマの後ろに付くこともあったが,ほとんどのクルマが道を譲ってくれ,走りを十分堪能した。アルファ ロメオ スパイダーは決して速くはないが,エンジン音が素晴らしく,屋根を開けて走るのも最高だ。

 

蓼科で最後に寄ったのは,「メルヘン街道」(ヘンな名前だ)沿いの乙女滝。期待して行ったのだが,余り大きくなくてちょっとがっかり。

 

もう直ぐ中央自動車道という時になって,雨が降り出してきた。東京に帰ったら大雨ではないか。台風が接近しているさなか,蓼科や美ヶ原にいる間は雨が降らず,帰る直前になって振りだしたとは,何とも運のいいものだ。