エリカ バドゥ公演

僕にとって、エリカ バドゥ(Erykah Badu)は評価に困るミュージシャンだ。バドゥの音楽は、R&Bに区分されるだろう。彼女のスタジオ盤は3枚持っているが、気に入っているのはその内の1枚(Baduizm)だけだ。しかし、Baduizmの曲が大部分を占めるライヴ アルバム(その名も"Live")は、あらゆるアルバムの中で最も気に入っているものの一つだ。ここでの演奏は、音の隙間が多い(音数が少ない)にも関わらず,官能的な感触を持つ。その上に載るバドゥの声質は、鋭角的でありながら深みがある。禁欲的な官能とでも言うべき音が素晴らしい。

そんなエリカ バドゥのライヴを期待して、木場のStudio Coastまで昨日足を運んだ。普段あまりコンサートに行かない上に、立ち見のコンサートは恐らく10年振りくらいなので、ちょっと戸惑う。

バドゥとバンドの演奏の水準は、期待に近いものだった。バンドのリズムとバドゥの歌唱は見事。ただし、やたらと変拍子を入れたり、バンドの音を突然小さくしたりなど、演奏に変化を付ける回数が多く、ちょっと小細工をしすぎという感じがした。もう少し原曲に忠実に演奏すれば良いのに... また、演奏の水準自体とは関係ないことだが、前座の演奏が1時間以上と長く、しかもバドゥの演奏は1時間15分だけだった。アンコールも無く、最期にMCが出てきて、「エリカは今夜は横浜のベイ ホール(?)で朝までパーティをやるので、エリカをもっと観たい人は横浜まで行ってください」と言ったのには、かなり白けた。なんか、不完全燃焼だな。

★★★・・

演奏自体とは関係ないが、会場(Studio Coast)の設計の酷さには驚いた。女子の洗面所には長蛇の列―女性が可哀想。コイン ロッカーの有る場所も狭く、ここにも長い列。しかも、ロッカーの鍵にはロッカー番号が書いていない。番号を正確に覚えておらず、いくつかのロッカーに鍵を試しに差し込んでいる人が大勢いた。この会場を設計した人は、一体何を考えているんだ。