ローラン ギャロス(全仏オープン)とウィンブルドン(全英オープン)の決勝は、ともにフェデラー対ナダルという同じ顔ぶれとなった。これは凄いことだ。
結果として、ローラン ギャロスはナダルが、ウィンブルドンはフェデラーが優勝というのは、一見順当な結果に見える。また、ウィンブルドンの6-0、7-6、6-7、6-3というスコアは、一見フェデラーの楽勝に見える。しかし、ウィンブルドンで両者を分けた差はごく僅かであり、ナダルの強さが印象に残った。
ウィンブルドンでは、フェデラーが途中リードしても余裕は全く感じられなかった。ナダルはいくらでも粘って逆転しそうな雰囲気を湛えている。ナダルの圧倒的な身体能力とコート カバリングとグラウンド ストロークは驚くべきものだ。フェデラーがいいアプローチを放ってネットに詰めても、素早く追いついて信じられないようなパスを放ってくる。これを象徴しているのが第2ネットで、あのフェデラーが10回ネットに詰めて5回しか点を取れていない。若干20歳で、つい最近までクレー コート スペシャリストと思われてきた人間がここまでやるのだ。ナダル、恐るべし。
僕は少し前まではフェデラーが史上最強の選手だと思っていた。この判断は今この瞬間は正しいだろう。しかし、まもなく覆されてしまうかもしれない―ナダルによって。
マッケンロー対ボルグ、エドベリ対ベッカー、アガシ対サンプラスというように、好敵手がナンバー ワンの座を争ってこそ面白い。最近のテニスにはそれが欠けていた―フェデラー対ロディックでは力に差がありすぎる。フェデラー対ナダルという好敵手が、それも史上最高の水準で争う時代が始まろうとしている。また、テニスが面白くなりそうだ。