ロジャー フェデラー、グランド スラム15勝

テニスの記録を塗り替えるのにふさわしい試合だった。2009年ウィンブルドン男子決勝は、ファイナル セット16-14という激闘の末、ロジャー フェデラーがアンディ ロディックを下し、ピート サンプラスを上回るグランド スラム15勝をあげた。

1ヶ月前のローラン ギャロスで生涯グランド スラムを達成し、好調なフェデラーが決勝に進出するのは予想通りだ。だが、ロディックが準決勝でアンディ マレイを下し、決勝へ駒を進めた時は、興醒めな気がした。最近一番勢いがあり、かつ英国人のマレイが相手の方が、決勝が盛り上がると思ったからだ。

しかし、決勝のロディックは、大味ないつものロディックとは異なっていた。サーブが強力なのは相変わらずだが、ストロークやネット プレイも精緻な、見事な試合振りだった。フォア ハンドの逆クロスは、まるでフェデラーかと錯覚する程の正確さだ。

第4セットまでは、どちらかというとロディックが押し気味だった。フェデラーは何回かブレイク ポイントを握るが、結局一度もブレイクできず、タイ ブレイクでやっとセットを取るという嫌な展開。タイ ブレイクの無いファイナル セットは、6-6となっても一向に決着が付く兆しが無く、サービス キープのまま果てしなく試合が続いていく。こうなると後は気力と体力と、そして運の勝負だ。

疲労の様子が最初に見えたのはフェデラーだった。ストロークから徐々に正確さが欠けていき、アウトが増えてくる。しかし、この日のフェデラーはサーブが最後まで好調だった。50本という信じがたい数のサービス エイスを叩きだし、ピンチもサーブで凌ぐ。ファイナル セットの30ゲイム目、フェデラーの粘り強さに根負けしたかのように、ロディックが凡ミスを犯し、フェデラーが雄叫びを上げた。

この大会はラファエル ナダルが膝の故障で欠場したが、それでも、この決勝の内容からすると、フェデラーの勝利が歴史的偉業であることに変わりはない。一時は限界かとも思われたフェデラーだが、ロラン ギャロスに続きウィンブルドンでも優勝し、気力は充実している。これからも数々の勝利を重ねていくだろう。