ウィンブルドン王者交代

ウィンブルドンの王者は、劇的な試合で交代した。テニスの質の高さと緊迫した展開で、この決勝戦は後世に語り継がれることだろう。

ロラン ギャロスを含めこの所の充実振りからナダル優勢と評する声が多かったと思う。立ち上がりは正にその通りとなり、ナダルが2セット連取した時点で、試合はほぼ決まったかのように見えた。しかし、続く2セットを共にタイ ブレイクで奪い返したフェデラーの粘りは驚異的だった。何度かマッチ ポイントに直面しながらも、冷静さを失わない様は見事だった。

2セット連取した後、続く2セットを失ったら、普通の人なら挫けるところだが、ナダルは違った。第5セットの最初こそ若干凡ミスが見られたが、直ぐに立ち直り、9-7で勝利をもぎ取ったのは驚くべき事だ。

ナダルはバックハンドのスライスも上達したが、それ以上にサーブの向上が目覚ましい。エースを量産する訳ではないが、コントロールと強い回転で、相手のリターンを崩し、その後のストロークで優位に立つ。最初のうちは徹底してフェデラーのバック側へサーブを入れ、試合の中盤からは躰へ目がけてサーブを打つなど、戦略も良く考えている。

フェデラーはベストに近いテニスをしたが、最初の2セットは時折ファースト サーブの確率が悪くなり、そこでナダルにブレイクされてしまった。また、第2セットは恐らく10回程度ブレイク ポイントを握り、押し気味に試合を進めたが、結局その内1回しかブレイクできなかったのが、最後まで響いてしまった。

ウィンブルドン後でもATPランキング上はまだフェエラーが1位だが、もはやナダルが1位となるのは時間の問題だろう。U.S.オープンの頃に1位が交代するのではないか。ナダルは22歳と、年齢的にも絶頂を迎える時期だ。

今年の8月に27歳となるフェデラーは、年齢面でも絶頂からやや下り気味となる微妙な時期だ。過去にも多くの王者が、20代半ばを若干過ぎた辺りで王座から転落している。客観的にはフェデラーにとって今後は厳しい展開となるだろうが、フェデラー ファンの僕としては、引き続きの活躍を期待したい。