6人掛けのカウンターに加えて、個室が二つ在る。我々はカウンターに通された。
先付けは蟹や雲丹の酢の物。酢がとても美味しい。
煮物は鱧と帆立しんじょうと松茸の椀。出汁の味と香りが素晴らしい。
烏賊や鯛の造りは、素材の質が高く、弾力感のある食感だ。
戻り鰹のタタキは、辛子とぽん酢の二種類で食べる。微かな燻り方が適切だ。
鮑と餅米は、トロミのある出汁との食感の組み合わせが見事だ。
マナガツオの幽庵焼きも上質。
すすきなどで飾った八寸は見目麗しい。
変化球として投げ込まれた鮪の鮨は、鮨専門店に匹敵する出来。
大きな葉っぱで蒸し焼きにした牛肉と松茸と銀杏は香り高い。
炊き合わせは出色だった。冬瓜の茶碗蒸しだが、中にはフカヒレが入っている。滑らかな茶碗蒸しに、フカヒレの繊維感が変化を与えている。
白米に加えて、鰻の佃煮お茶漬けも頂いたが、これらも中々のもの。
甘味は二皿。
最初の皿はシャイン マスカットとオレンジのゼリー。ゼリーは極めて滑らか。
最後の水羊羹は驚くほど柔らかい。
接客は親しげで、積極的に話し掛けてくれる。
料理の質を考えると、価格は手頃。自宅の近くだったら、しばしば通いたいところだ。
9/10