13年振り2回目の訪問。
「ぎおん 阪川」は文字通り祇園の和食店だ。店内は8人掛けのカウンターと個室が2室。固定客を掴んでいるのか、コロナ ウィルスの緊急事態宣言が発出されている中でも客入りは良かった。
和食店にしては珍しく、アラカルトを提供している。一年中供していると思われる品に加えて、季節の魚介類を複数の調理方法で供しており、品数は目移りするほど多い。
注文に関わらず供される最初の皿は鱧の揚げ物。衣がとても軽く、中に詰められた梅肉の程よい酸味も相まって、素晴らしい出来だ。この先はお好みで。
蛸の造りは弾力感が見事。
いちじくの酒蒸しは、柔らかく微かに甘い。添えている白味噌が味わいを更に豊かにしている。
子持ちの鮎の塩焼きは、単純そうで滋味深い。
かなり大きな喉黒の塩焼きは、素材も焼き加減も最上。
スッポン鍋は筆舌に尽くし難い美味しさ。出汁は上品かつ力強く、出汁だけでも何杯も飲めてしまう。
唐墨は滅多に食べられない美味しさ。酒呑みにとっては堪らない品だろう。
ここまでが余りに素晴らしかったので、調子にのって人生で初めて鮒ずしを頼んだ。チーズを遥かに超える強烈な匂いで、興味深い経験だったということにしよう。
締めは鯛茶漬けで。
明るい大将は客に積極的に話し掛けてくれる。実際の調理を弟子が担当する場面も多いが、それでも料理の水準が高いのは、チーム全体の技量が高いからだろう。
阪川は、和食店ながらアラカルトを提供し、酒の当てになる品も多い。料理は美味しく、大将も明るい性格。
カウンターの和食店として理想的だ。
10/10