La Chasse

ラ シャッスは、狩人であるシェフ自らが仕留めたジビエを供するという珍しい店。店内に入った瞬間に鮮烈な印象を受ける。穴蔵のような造り、落とし目の照明、鹿や猪の剥製、そして赤々と燃える暖炉が、ジビエの店という強いメッセージを放つ。
髭を蓄えた眼光鋭いシェフは、頻繁に客席を訪れ、料理の説明をしたり給仕したりするので、親近感が湧く。メニューはアラカルトで、前菜も主菜もほとんどが肉料理だ。前菜は肉以外の選択肢がもっと有った方がいいような気もするが、これがシェフの方針なのだろう。
前菜は二品を二人で分けた。鴨肉とフォアグラのパテは、フォアグラの味は余りしなかったが、鴨肉の味わいが凝縮された野趣がある。パテを余り好まない僕にも楽しめた。
もう一品は、軽く炙った雉のササミに内臓を添えたもの。ササミは淡泊な味わいだが、火の通し加減が巧い。
主菜は仔猪のローストを選択した。出てきた肉の量の多さに一瞬たじろぐが、脂身が多く、食べられるところは余り多くない。猪を食べたのは初めてだったが、臭みが全くなく、風味が強めの豚肉みたいな印象を受けた。前菜も主菜も、調理法は余り凝ったものではなく、素材の質と火入れの技で勝負しているような感じだ。
デセールは、ゴルゴンゾーラのアイスクリームという意表を突くものがあったので、興味津々で頼んでみた。当たり前だが、正にゴルゴンゾーラの味がする。濃厚な味わいが印象深い。
二人でグラスワイン3杯で28,000円。
★★★★・