レ クレアシヨン ド ナリサワ Les Créations de NARISAWA

奮発してLes Créations de NARISAWAで夕食を摂った。

コースのみでアラカルトは無くなったようだ。今回のコースは「自然からの贈り物」と題されており、プティ フールを除いて全部で12皿から構成されている。

これだけ品数が有ると、全てが完全に好みに合うという訳にはいかないが、全体的な完成度は非常に高い。主菜の魚(本日はハタ)と豚までの大部分の皿には、凝った技巧と意表をつくプレゼンテーションが施されている。

例えば"灰 2009 バスクの風"。どういう料理か全く想像できない品名だが、出てきたのはイカだった。その上に灰のようなものが載っているが、何とこれは、焦げるまで焼いたピーマンをドライ アイスで冷やしたものだ。「灰」を熱いイカの上にかけると溶けて黒いソースとなる、という趣向だ。こう書くと凝りすぎのような感じもするが、これが美味しいのだから脱帽だ。

熱した石鍋を使って、その場で10数分かけてパンを発酵させるのも面白い。シェフの発想の豊かさには驚かされる。

主菜の「鹿児島・完全放牧黒豚」は逆に簡素なプレゼンテーション。上質な肉の旨みを、レアに近い焼き加減で上手に引き出している。モリーユという茸を使ったソースとの相性も抜群だ。

黒豚から2品前の「小田原漁港から活ラングスティーヌ」も、素朴なコンソメ仕立てだが、スープの優しい味わいに気持ちが安らぐ。

サーヴィスもほぼ完璧だ。席数に比べてかなり多めの給仕を配しているだけあって、各席の状況をきめ細かく把握している。

アルコールを余り飲まない我々は、二人でグラス ワイン4杯で6万円弱。いいワインを瓶で頼むと、客単価は4万円近くまで行きそうだ。こんな高額店だが、不況にも関わらず満席だった。それだけの魅力がこの店にはある。

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