2015年全豪オープン男子はジョコヴィッチが5回目の優勝

ノヴァク ジョコヴィッチが全豪オープンで5回目の優勝を成し遂げた。これはオープン化以降では最多で、オープン化前を含めても、ロイ エマソンの6回に続く偉業だ。

アンディ マレイとの決勝では、ジョコヴィッチの精神力の強さが発揮された。これは不思議な試合で、何度もマレイに流れが向きながらも、ジョコヴィッチが流れを引き戻して、3-1で勝利を収めた。

第1セットの序盤はジョコヴィッチが優勢だったが、ジョコヴィッチが転んで指を痛めてから、マレイが優位に立つ。しかし、ジョコヴィッチは粘って、第1セットをタイ ブレイクで勝ち取る。第2セットでまたもやジョコヴィッチが転んでから、再びマレイに流れが向きながらも、マレイは主導権を奪いきれない。ところが、あるジョコヴィッチのサーヴィス ゲイムの前に、観客がコートに乱入し、これで集中が乱れたか、次のゲイムでジョコヴィッチはサーヴィスを落としてしまう。結局、今度はマレイが第2セットをタイ ブレイクで勝ち取る。第2セット終了時で既に試合時間が2時間半に達し、両者とも疲労が現れていた。第2セットを失ったことで精神的な打撃を受けたジョコヴィッチは、第3セットの序盤でサーヴィスをブレイクされ、この時点でマレイの方が優位に見えた。しかし、ここからのジョコヴィッチの粘りが尋常でない。マレイがチャンスで何度かエラーをしたことも手伝って、第3セットはジョコヴィッチが逆転で6-3で奪い取る。もはやマレイにエネルギーは残っておらず、第4セットはジョコヴィッチが6-0で勝利した。

この試合はマレイが勝つ可能性も十分に有った。しかし、マレイはチャンスを決めきれず、ジョコヴィッチが粘り勝ちした。見事な精神力だ。

ジョコヴィッチのグランド スラム優勝回数は史上8位タイの8回となった。更に2、3回は優勝できるのではないだろうか。ジョコヴィッチはテニス史に残る偉大な選手と言えよう。

敗れたものの、マレイの復活も見事だ。マレイは2013年の末に腰を手術し、2014年の前半は精彩を欠いてしまった。2014年終盤にいくつかの小さな大会で優勝したものの、ツアー ファイナルでは錦織圭とロジャー フェデラーに敗れて、ラウンド ロビンで敗退してしまった。特にフェデラーに対しては、0-6, 1-6と完敗で、マレイ本人が自分の不甲斐なさをファンに詫びるツイートをする程だった。それから僅か1ヶ月でここまで調子を上げてくるのは、大したものだ。翌週のランキングでは、マレイはスタン バブリンカに代わって4位に浮上し、久しぶりに"Big 4"に復帰する。

去年は、錦織、ミロス ラオニッチ、グリゴー ディミトロフの若手3人が上位との差をつめてきたが、彼らは今回の全豪で準決勝に進めなかった。錦織はバブリンカに、ラオニッチはジョコヴィッチに、ディミトロフはマレイに敗れている。世代交代はまたしても起こらなかった。