ニース近郊のEzeという村は、中世から続く迷路のような石造りの街並みが特徴だ。この村の険しい丘を登ったところに在るChâteau de la Chèvre d’Orというホテルに15年振りに二泊して、二日とも夕食はホテルのメイン ダイニングで摂った。ホテルの立地は特筆に値する。断崖絶壁からはるか眼下に眺める地中海は絶景だ。
料理は、古典を踏まえながら現代的な要素も取り入れた感じだ。もう少し具体的に言うと、主菜の肉は(魚も有るが我々は肉を選択した)重厚な味付けで量も多い。一方で前菜は思い切って甲殻類のみに絞り、味付けは軽く量も少なめだ。前菜の前に幾つかアミューズも供される。アミューズから前菜までと、主菜の間にギャップが有る感じだが、これも個性の一つだろう。
初日は前菜に海老を、主菜に兎を頼んだ。
海老は中華料理の「エビチリ」を彷彿させるプレゼンテーション。
兎は素材自体は淡白だが、ソースは濃厚だ。
二日目は前菜にロブスターを、主菜に鳩を頼んだ。
ロブスターは素材も火入れも見事。
鳩は古典的なフランス料理とも言うべき重厚なものだ。
初日はデセールまで食べられなかったが、二日目は頑張って、近郊のMenton名物の大振りのレモンを使ったデセールも頼んだ。中身はソルベで外側を半分凍らせたこのデセールは酸味が強烈だ。僕は酸味のあるデセールを余り好まないが、この品はとても気に入った。
ワインは同じ瓶を二日間に渡って飲んだが、ソムリエはこの引き継ぎに細心の注意を払ってくれた。ソムリエ云く、シャサーニュ モンラッシュは一日経っても味が落ちないか、むしろ良くなるので、コルクを抜栓した。一方シャンボール ミュジニーは”fragile”なので、コルクを抜かずに、コルクに細い管を差し込む道具を使ってワインを供してくれた。
二日目に給仕に対して”Thank you”でなく”Merci”と言ったら、給仕が”Your French is improving.”と切り返すなど、茶目っ気も有る。
5 star hotel Château de la Chèvre d'or | Luxury hotel on the French Riviera
★★★★.