Abysse(アビス)は、代官山に在る魚介類に特化したフランス料理店だ。
店内の基調色は、壁の黒と床の焦げ茶色とテーブル クロスの紺色だ。照明はかなり暗めで、落ち着いた雰囲気を醸し出している。コースは皿数に応じて2種類有り、我々は皿数が少ない方を選んだが、それでも量は十分だった。
牡丹海老のカナッペは、甲殻類の旨味が凝縮され、少量ながら印象的だ。
次の皿は本日の白眉だった。鰹の叩きの上にビーツを載せ、生姜や赤玉葱で微かに風味を付けている。鰹の叩きはまるで馬肉のタルタルのような食感であり、しつこくならない程度に濃厚な感触がする。
3皿目は、新鮮な烏賊の上に大根を載せ、烏賊墨のソースを掛けている。和食に近い繊細な味わいだ。
4皿目の穴子は、柔らかく蒸しており、マコモダケやマカデミアナッツのスプマンテとの意外な組み合わせも効果的だ。
5皿目は帆立貝のポワレに舞茸を載せ、更にその上に帆立から作ったチップスを載せたという凝ったもの。
6皿目の甘鯛は、浅すぎも深すぎもない絶妙な火入れだ。ソースはかなり攻めており、ホオズキ等から作った甘酸っぱいもの。好みが分かれる味だが、僕は気に入った。
7皿目の鰆も、素材も良いし火入れも的確だ。
8皿目のマスカルポーネのデセールは、酸味が爽やか。
9皿目の栗のデセールは、モンブランをミルフィーユみたいな仕上げにした優しい味わいだ。
コースの特に前半は、とても技巧的ながら良く纏まっており、シェフの技量はかなり高そうだ。
ワインはグラスで数杯飲んだが、グラスの選択肢も複数有る。
接客は親しげながらもプロフェッショナルで、好印象だ。
8/10