2回目の訪問。
Floraison(フロレゾン)は気軽な店だが、かなり高い水準の料理を供し、満足度が高い。
場所は神楽坂。4卓とカウンターの小さな店を、調理三人、接客一人で回している。内装はコンクリートの壁に木をあしらい、簡素ながら品がある。コースだが前菜と主菜にいくつか選択肢が有り、アラカルトに近い。
前菜は、軽く燻った秋刀魚のカルパッチョを選んだ。複数の野菜が添えられ、肝やニンニクから作ったムース状のソースの苦味が、効いている。
もう一つの前菜は、赤ワインで煮込んだ米沢牛テールのラグー。ジャガイモのニョッキと渾然一体となった円やかな食感。ポルチーニ茸の香りに魅惑される。この日、最も印象的だった皿だ。
魚料理は、タケノコメバルという珍しい魚。皮に微かな焦げ目を付けた焼き方も、皮から作ったというソースも良い。
肉料理は鹿を選んだ。焼き加減が適切で、適度に濃厚なソースが味に深みを与えている。
小さな店ながらパティシエが居り、デセールも良かった。洋梨のコンポートとフロマージュの食感の組み合わせが良く考えられている。
料理は古典を基にしながらも現代的な軽さがある。調理の技量が高く、食感が良く考えられている。手頃な値段ながら、高級店並みの料理を楽しめる。
8/10