RAVIN D’OR(ラヴァン ドール)は、客の好みに柔軟に応えくれるフランス料理店だ。
場所は白金。白い壁と明るい木を基調とした内装。7-8人掛けのカウンターとテーブルが一卓の店を、シェフ一人と接客一人で回している。満席だった。
カウンターに掛けると、先ずはシェフが挨拶と共に、その日の素材を見せてくれる。アミューズ ブーシュ二皿とサラダ一皿とデセールは決まっているが、それ以外は客が素材と調理方法を指定するシステムだ。素材のみ指定して、調理はお任せにした。
アミューズ ブーシュの一皿目は、球体の生地の中に貝やトマトやキャビアを詰めている。生地の軽い食感がシェフの技量の高さを示している。
アミューズ ブーシュの二皿目は、クリームの上に雲丹を乗せたもの。滑らかな食感。恐らく酢で味を整えている。
ソテーした烏賊は、とても印象的だった。マッシュルームと魚醤という意外な組み合わせのソースは、エスニックになり過ぎない範囲で存在感がある。
シェフの手の速さに驚いた。10人以上の客に異なる料理を作りながらも、皿出しの間隔は短い。更に同時並行でブリオッシュまで焼いている。このブリオッシュも、併せた塩気の混じったバターも美味しかった。しかも、シェフは客にしばしば話しかける余裕まである。
野菜のサラダは堅実な味。
ホワイト アスパラガスは、パスタ仕立てでカレー ソースという意外な調理法。アスパラガスよりもパスタの味が支配的だが、パスタとして美味しかった。
鴨のローストは、素材も焼き加減も良い。付け合わせの蕪が意外に合う。
デセールは、マンゴーとクリーム ブリュレの滑らかな食感。
気軽な雰囲気ながらシェフの腕は確か。お任せのコース主体の現在では珍しく、客が素材や調理方法までも選べる。良い店だと思う。
8/10